会社法

株主総会の議事と決議の種類、瑕疵

株主総会の議事

株主総会において議長は特に定められていないが(株主、代表取締役、取締役など)、一般的に取締役が議長を務めることが多いです。取締役や会計参与、監査役、執行役は株主の質問に対し誠実に説明する義務があります。これに反して不誠実な説明をした場合、株主総会決議取消の訴えの理由になります。ただし、質問内容が株主総会と無関係あるいは会社の利益を損なう(企業秘密の提供など)場合は、拒絶できます。株主総会は議事録を作成する必要があり、株主総会議事録を本店と支店に備え置く必要があり、備え置く期間はそれぞれ10年間と5年間です。

 

株主総会決議

株主総会の決議には、普通決議と特別決議、特殊決議があります。

 

普通決議

株主総会の普通決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、出席した株主の議決権の過半数の賛成により成立します。定足数については役員の選解任の決議を除き、定款で変更または排除することができます。役員(取締役、監査役、会計参与)の選解任の定足数については、定款の定めによっても株主の議決権の3分の1未満とすることはできません。

 

特別決議

議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(定足数)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上にあたる賛成(決議要件)により成立します。定款で定足数を3分の1以上とすることが可能であり、また、決議要件の3分の2以上をさらに引き上げることも可能です。

 

特殊決議

  1. 議決権を行使できる株主の半数の出席および3分の2以上の賛成が必要(定款により出席人数を3分の1以上に、決議要件をさらに引き上げることが可能です)
    →定款変更による譲渡制限株式への変更や組織再編による譲渡制限株式の交付など
  2. 議決権を行使できる株主の半数の出席および4分の3以上の賛成が必要(定款により出席人数と決議要件をさらに引き上げることが可能です)
    →非公開会社において、剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会の議決権の各事項について、株主ごとに異なる取り扱いを行う旨の設定、変更を行う場合(この定めを廃止する場合は含みません)
  3. 総株主の同意
    →取得条項付株式を設定、変更する場合(この定めを廃止する場合は含みません)

 

株主総会決議の瑕疵

株主総会の決議は法律行為であり、それが有効であるためには①招集手続きが適法に行われていること、②決議内容が法令、定款に違反していないことが要求されます。これらに違反があった場合、以下に示す訴えにより無効になります。

決議取消の訴え

  1. 招集手続きと決議の方法に法令違反または著しい不公正があった場合
  2. 決議内容が定款に違反している場合(定款に定められている内容と異なる内容を議題、議案にしている場合)
  3. 特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議の場合

決議無効確認の訴え

  1. 決議の内容が法令に違反する場合(議題、議案が法令に違反している場合)

決議不存在の訴え

  1. 決議を行っていないにも関わらず、行ったこととした場合(株主の同意も得ず、議事録だけ作るなどした場合)

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