会社法

議決権

議決権

議決権とは、株主総会に出席し票を入れることができる権利のことです。一般的に1株につき1つの議決権を有します(一株一議決権の原則)。株主総会で質問する権利を質問権、意見を述べる権利を意見開陳権と言います。

 

議決権を行使できない株主

  1. 議決権制限株式
  2. 会社が保有する自己株式
  3. 相互保有株式
    例えば、甲会社と乙会社、丙会社がそれぞれの株式を相互保有している関係にあり、甲が丙会社の株式を25%以上保有している場合、丙は甲の株主総会で議決権を行使できません。これは甲は丙にとって大株主であるため、丙が甲の株主総会で言いなりになり、不正な議決権行使を行う可能性が高いためです。一方、甲会社は乙会社の株主総会で議決権行使を制限されることはありません。また、この25%以上というのは合計値でも適用されます。例えば、親子関係にある甲と乙が丙の株式をそれぞれ15%と10%有している場合です。この場合も丙は甲の株主総会で議決権を行使できません(乙の株主総会には参加できます)。さらに、甲と乙が親子関係にあり、乙が丙の株式の25%以上を保有している場合、丙は乙の株主総会だけでなく、甲の株主総会でも議決権が制限されます。
  4. 基準日後に株式を取得した株主
  5. 単元未満株式
  6. 株主総会決議において特別の利害関係を有する株主
    ①譲渡制限株式を会社が取得する審議をする株主総会特別決議における譲渡等承認請求者
    ②相続その他一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、定款の規定に基づき売渡請求をする旨を審議する株主総会特別決議における売渡請求を受ける株主
    ③株主との合意により自己の株式を取得する場合の特定の株主
  7. 非公開会社における特則
    非公開会社では剰余金配当、残余財産の分配、株主総会における議決権に関する事項について、株主ごとに異なる取り扱いをする旨を定款に定めることができます。

 

議決権の行使

代理人による議決権の行使(代理行使)

株主の議決権は、代理による行使が認められている。株主総会ごとに代理権を授与し、その書面(委任状)を会社に提出する必要があります(代理書面又は電磁的記録は株主総会日より3か月、本店に備え置く)。株主が代理人を出席させる人数について、株式会社はその人数を制限することができ、また代理人を株主に限ることも有効です。

 

議決権の不統一行使

株主が複数の議決権を持つときは、統一しないで行使することができます。例えば、株式の信託や共有の場合がこれにあたります。定款に定めたとしても議決権の不統一行使を排除できませんが、信託や共有以外の場合において会社は議決権の不統一行使を拒否することができます。

不統一行使の通知は、取締役会設置会社では株主総会の3日前まで、取締役会非設置会社では事前通知不要です。

 

書面による議決権の行使(書面投票)

株主は招集通知を書面あるいはメールで確認し、株主総会に行けないときは同封あるいはプリントアウトした議決権行使書面を会社に送付します。
会社から郵送されるのは、株主総会招集通知、議決権行使書面、参考書類になります。

※書面による議決権行使は基本的に任意になります。ただし、議決権行使可能な株主が1000人以上の会社は、書面による議決権行使ができる旨を定める必要があります(定款による制限はできません)。

 

インターネットによる議決権の行使(電子投票)

株主は招集通知を書面あるいはメールで確認し、文書内あるいはメール内のURLにアクセスすることで、電子投票を行うことができます。
書面において会社から郵送されるのは、株主総会招集通知と参考書類になります。

※定款に電子提供制度を設けた会社は、3週間前までに「議決権行使書面、参考書類、計算書類、事業報告」を掲載する必要があり、この場合、それらの書類について同封を要しません。

 

株主総会のみなし決議

議決権を持つすべての株主が、株主総会で決議する事項について書面または電磁的記録により賛成、同意の意思表示を示した場合、株主総会の開催および決議の省略が可能です(みなし決議)。この場合、みなし決議の日から10年間、書面または電磁的記録を本店に備え置き、株主の閲覧等に供す必要があります。

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