会社法

株主総会

会社の機関

株主総会

株主総会は、株主によって構成される株式会社の最高意思決定機関です。会社法は原則、株主総会万能主義(会社における一切の事項について決議することができる)を採用しています。取締役会設置会社では重要な業務執行の決定を取締役会に委任しています(所有と経営の分離)。ただし定款に定めた事項は株主総会で審議することができます。

※臨時株主総会は、定時株主総会以外の株主総会のことで、必要があればいつでも招集できます。

 

株主総会を開催するための事項

一般に、定時株主総会は事業年度末から3カ月以内に開催されることが多いです。なぜなら会社は議決権を行使できる株主を定めるために設定される基準日を事業年度終了日に一致させることが多く、基準日株主が行使できる権利の期限は基準日から3カ月以内だからです。

 

株主総会の内容を決める機関と招集権者

株主総会の内容(日時、場所、目的である事項(議題)など)は、取締役会設置会社では取締役会決議、取締役会非設置会社では取締役の決定で決められます。招集については原則として取締役が行います。例外として株主が招集する場合があります。このとき、株主は株主総会の目的である事項と招集理由を示し、取締役に株主総会招集の請求ができます。もし、請求日から8週間以内の日に株主総会を行う旨の招集通知が発せられない場合は、裁判所の許可を得ることで株主総会を招集することができます。

 

株主による招集請求の際の条件

  1. 公開会社
    総株主の議決権の3%以上の議決権を、6カ月以上前から引き続き有する株主。総株主の議決権の割合と保有期間は定款で引き下げることができます。
  2. 非公開会社
    総株主の議決権の3%以上の議決権を有する株主。総株主の議決権の割合は定款で引き下げることができます。
  3. 当該株主が議決権を行使できる事項に限る
  4. 取締役に対し株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求したこと
  5. 招集請求後、遅滞なく招集の手続きが行われないこと、又は招集請求があった日から8週間以内(定款で期間を引き下げることが可能)の日を株主総会の日とする株主総会の招集通知が発せられない場合

 

株主総会の招集通知と通知方法および通知内容

招集通知

  1. 公開会社
    株主総会日の2週間前までに各株主に対し招集通知を発しなければなりません。「2週間前まで」とは総会日から15日を引いた日を指します。
  2. 非公開会社
    書面投票又は電子投票を採用する場合は株主総会の日の2週間前までに招集通知を発する必要があり、書面投票又は電子投票を採用しない場合は株主総会の日の1週間前までに招集通知を発する必要があります。非公開会社で取締役会非設置会社の場合、定款に定めればさらに招集通知の期間を短縮することができます。

※電子提供制度を採用する非公開会社は一律、2週間前までに招集通知をする必要があります。

招集通知の方法

  1. 公開会社
    取締役会設置会社は、書面又は電磁的方法で招集通知をしなければなりません。
  2. 非公開会社
    取締役会非設置会社は、通知方法に制限はない(書面又は電磁的方法による議決権行使を認める場合を除く)。つまり招集通知に議題などを記載又は記録することを要せず、口頭や電話でも可能です。

招集通知の内容

  1. 株主総会の日時及び場所
  2. 株主総会の目的である事項
  3. 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
  4. 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
  5. その他法務省令で定める事項
    一定の重要事項(役員等の選任、報酬、定款変更、合併など)が株主総会の目的であるときは、議案の概要も記載します。議案が確定していない場合はその旨を記載します。
  6. 電子提供制度をとっている場合は、その旨

招集する場所

特に制限はありませんが、定款で制限を加えることができます。

 

通知する必要のない株主

  1. 議決権制限株式を持つ株主(完全無議決権株式を含む)
  2. 自己株式取得や売渡請求において売主になる者
  3. 基準日後に株式を取得した株主
  4. 単元未満株主
  5. 会社が自己株式を保有している場合、その会社自身
  6. 株式相互保有の場合

※通知不能株主(招集通知を発しているが、継続して5年間到達しなかった株主)に対する招集通知は不要。

 

株主提案権

議題の追加を請求する権利(一定の事項を会議の目的とすることを請求する)

議案の要領の通知を請求する権利(自己の議案の要領を株主に通知することを請求する)

株主提案権とは、株主が経営に参加する権利である共益権のひとつで、株主が株主総会の議題(目的)を取締役に対し請求(提案)できる権利のことです。株主提案権を行使するためには一定の要件を満たす必要があります。公開会社で、取締役設置会社における株主提案権の行使は、6ヵ月以上前から継続して総株主の議決権の1%以上の議決権、又は300個以上の議決権を持っている株主に限られます。複数の株主の議決権を合算して要件を満たす場合、共同提案として請求可能です。この請求は、株主総会の開催日の8週間前までにする必要があります。非公開会社で、取締役設置会社における株主提案権の行使は、総株主の議決権の1%以上の議決権、又は300個以上の議決権を持っている株主に限られます。非公開会社で、取締役会非設置会社では一株持っていれば権利行使できます(単独株主権)。

 

議案を提出する権利

株主総会の議題(目的)における議案(ある役職の候補者など)についは、株主総会で株主の誰もが提案することができる権利です(単独株主権)。

 

株主提案権に対する拒否事由

  1. 議案が法令もしくは定款に違反する場合
  2. 同一議案において、総株主の議決権の10分の1以上の賛成を得られず、かつその日から3年を経過していない場合
  3. 議案において、株主が議決権を行使できない場合
  4. 取締役設置会社で議案が10個を超える場合

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