会社法

取締役

取締役とは

取締役とは会社法で定められている役員で、会社の業務執行に関する意思決定をします。取締役は株主総会普通決議で選任されます(株主の総意で選ばれます)。取締役の選任に関する種類株式が発行されている場合は種類株主総会で選任されます。取締役の員数は、取締役会非設置会社では1名以上、取締役会設置会社では3名以上を要します。取締役は会社と委任契約の関係にあり、会社に対して善管注意義務と忠実義務を負います。取締役は会社のために議決権を行使する必要があり、特別利害関係人となった取締役は議決権を行使できないし、議決権の代理行使も認められていません。

※株主総会普通決議の定足数を定款で3分の1未満にすることはできません。

 

取締役の報酬

取締役の報酬(賞与や退職金などに加え株式付与や新株予約権も含まれます)は、定款や株主総会決議(決算期の定時株主総会)により取締役全員での報酬の上限または一人当たりの報酬の上限を決定します。一人当たりの詳細な報酬は取締役会設置会社においては取締役会、取締役会非設置会社では取締役の過半数の一致で決められる。

ポイント

定款又は株主総会の決議で決める事項

  • 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
  • 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
  • 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な算定方法

 

取締役になれない者

  1. 法人
  2. 会社法関連法令違反や、刑に処せられた者
    会社法上の罪に問われた場合、執行猶予中の者または刑の執行終了から2年間は取締役になれません。他の罪(窃盗罪など)に問われた場合、禁錮以上の刑の者は取締役になれません(刑が終了すれば取締役になることは可能です)。
  3. 株主(非公開会社は可能です)

 

株主総会における累積投票

累積投票とは複数人の当選者を決める選挙方法である。通常の選任方法は、候補者の一人について挙手し、次にまた候補者を選んでいきます。このとき、例えば10議決権を有する株主はそれぞれの候補者を選ぶときに10票ずつ投票できます。これでは少数派の意見を取り入れることはできません。この累積投票は、少数派の意見を取り入れるための方法で、自分の議決権数に候補者数をかけて、それで得た票をそれぞれの候補者に振り分けていきます。例えば、10議決権×候補者3名の場合、得られる票数は30票となり、これを候補者3名に対し割り振るということです。

※累積投票は定款により排除可能です。

 

取締役の選任、退任、任期

取締役の選任

取締役の選任決議の効力発生時期は、株主総会普通決議による選任と就任承諾の両方を満たしたときになります(どちらが先でも構いません)。

 

取締役の退任など

  1. 辞任
    取締役と会社の関係は委任契約なので、取締役はいつでも辞任できます。
  2. 解任
    いつでも株主総会普通決議により解任できます。
  3. 任期満了
  4. 委任の終了
    ※人気途中で、死亡・破産手続開始の決定や後見開始の審判を受けた場合
  5. 欠格自由
    任期途中に逮捕されるなど

 

任期

原則、選任後2年以内に終了する事業年度(決算期)のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。定時株主総会は事業年度から3ヵ月以内に開催されますが、定款により1ヵ月あるいは2ヵ月とすることも可能です。非公開会社は、定款で取締役の任期を10年以内とすることができます(監査等委員会及び指名委員会等設置会社を除く)。

 

定款変更により任期満了とみなされる場合

  1. 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款変更
  2. 上記①を廃止する場合
  3. 非公開会社が公開会社となる場合(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く)
    譲渡制限規定を廃止する

 

解任

取締役の解任は株主総会の普通決議(過半数賛成多数)によって行い、理由を問わずいつでも解任することができます(監査等委員である取締役を除く)。解任決議の定足数は3分の1以上としなければならず、定款によってもこれを下回ることはできません。また、種類株主総会で選出された取締役を解任するときは、種類株主総会の決議による解任を要します。取締役の解任において、累積投票によって選任された取締役を解任する場合は特別決議が必要になります。

 

解任の訴え

解任の訴えは、取締役の職務執行に関し不正の行為または法令、定款に違反する重大な事実があったにも関わらず、当該取締役を解任する旨の議案が株主総会で否決されたときに請求できます。訴えを提起できる者は少数株主(総株主の議決権の3%以上の議決権を、6ヵ月前から有する株主)で、訴えを提起できる期間は決議の日から30日以内です。

 

取締役に欠員が生じた場合

任期満了や辞任、死亡などの理由により取締役の最低員数(取締役設置会社では3名以上必要)を欠く場合、会社は遅滞なく株主総会を招集し、後任の取締役を選任する必要があります。選任手続きを怠った取締役は100万円以下の過料に処せられます。取締役の欠員の理由が任期満了と辞任である場合、退任した取締役は、後任者が就任するまで取締役としての権利義務を果たす必要があります(権利義務取締役)。この権利義務取締役は辞任できず、また会社により解任することもできません。取締役の欠員の理由が解任や死亡、欠格事由に該当し、後任者をすぐに選出できない場合、会社は裁判所に申し立てをし、一時的に取締役の職務を行うべき者(仮取締役)を選任してもらうことができます。

 

職務執行停止、職務代行者

解任の訴えが定期された取締役は、判決が確定するまで職務を執行できますが、これを一時的に停止(職務執行停止の仮処分)、さらに職務代行者を選任する仮処分が認められています。これにより判決が確定するまで、問題のある取締役の職務を停止させることができますし、さらに職務代行者を選任することで取締役の補充ができます。この職務代行者は会社の常務のみ行うことができます(裁判所の許可を得ることができれば、それ以外の業務も可能です)。

※株主総会における取締役選任決議の無効の確認の訴え/決議の取り消しの訴え/取締役解任の訴え

 

取締役の職務権限

取締役会非設置会社

取締役会非設置会社において、各取締役は業務執行権限を有しています。つまり個々人が代表権限を有しています。また、①定款に名前を記載するか、②定款の定めに基づく取締役の互選、③株主総会の決議により、取締役の中から代表取締役を定めることが可能です。業務の決定は取締役の過半数で決定していますが、以下の事項を除く決定は取締役に委任することが可能です。

メモ

取締役の過半数をもって決定する事項

  • 支配人の選任及び解任
  • 支店の設置、移転及び廃止
  • 株主総会及び種類株主総会の日時、場所及び議題等の決定
  • 内部統制システム(コンプライアンスなど)の構築
    大会社の場合は取締役が決定します。
  • 取締役の過半数の同意による役員等の任務懈怠責任の一部免除

 

取締役会設置会社

取締役会設置会社において、各取締役は取締役会の構成員であり、①会社の業務執行の決定、②取締役の職務の執行の監督、③代表取締役の選定及び解職に関する職務を行います。取締役会は以下の事項に関する決定を取締役に委任することができません。

メモ

取締役の過半数をもって決定する事項

  • 重要な財産の処分及び譲受け
  • 多額の借財
  • 支配にその他の重要な使用人の選任及び解任
  • 支店その他重要な組織の設置、変更及び廃止
  • 内部統制システムの構築に関する事項
  • 取締役会決議による役員等の任務懈怠責任の一部免除

 

競業避止義務

競業避止義務とは、自己または第三者のために株式会社の事業に関する取引などを行い、会社に不利益をもたらす行為を禁ずることです。取引を行う場合は、株主総会普通決議(取締役会設置会社では取締役会)において事実を開示し、承認を受ける必要があります。この義務に違反した場合は、退職金の支給の制限や損害賠償の請求などが行われる可能性があります。

※利益相反取引とは取締役自身にとって利益になり、会社にとって不利益になる契約のことであり、取引を行うためには株主総会普通決議(取締役会設置会社では取締役会)による承認を要します。承認を受けてない場合は、取締役と会社間の取引は無効です。しかし、善意無重過失の第三者には対抗することができません。

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